Tag: 戦略

11
Jan

SHEIN – ファストファッションがZ世代の心をつかむ – パート1

パンデミックの中、欧米ではファッションブランド、SHEINがZ世代の間で流行し、2021年には54の国・地域のIOSアプリストアでショッピングアプリのダウンロード数がトップになりました。現在、SHEINはアメリカのファストファッション(最新の流行を取り入れつつ、低価格の衣料品を世界的な規模で大量生産・販売するブランドや業態)市場の30%を占め、世界最大のオンラインのみで展開されるファッション企業となっています[1]。 SHEINは、H&MやZARAをはじめとする著名なファストファッションブランドに果敢に挑戦しています。また、仕組みの面でも、最低価格やリアルタイムショッピングなどを導入し、ASOSやBoohooなどのライバル企業を凌駕しています。 SHEINのビジネスモデルにはどのような秘密があるのでしょうか? 早速、見ていきましょう。 B2C:中間業者の排除 SHEINの背景についてはあまり知られていません。中国の企業でありながら、中国市場にはまったく力を入れておらず、西欧市場にのみ焦点を当てています。事実、中国でこのブランドを知っている人はごくわずかに過ぎません。 2008年に設立された14年目のファッションブランドで、当初はウェディングドレスをオンラインで販売していた起業家のクリス・シュー(Chris Xu)氏によって設立されました [2]。サプライチェーンの実情をよく知っていた彼は、ビジネスのスピードアップと価格低下の障壁となるものがあることに気づきました。それは小売業者の存在です。そこで、中間業者を通さなくてよいように独自のサプライチェーンを構築し、将来に向けて強固なB2Cの基盤を作ることを決意しました。その結果として、1ドル以下のアクセサリー、5ドル以下のトップス、7ドル以下のワンピースを販売することに成功したのです。 SHEINは現在、6,000の第三者による工場と、約200の委託製造業者と協力し、毎日商品を更新しています[3]。さらに、製造プロセスを円滑に進めるため、工場に自社製のサプライチェーンマネジメントのためのソフトウェアを使用させています。このソフトウェアによって、リアルタイムで顧客データを収集し、デザインや生産についての指示を出すことができるのです[4]。広州に拠点を置くSHEINは、市の農村部に10,000平方メートルの倉庫を所有しており、ほとんどの注文はそこから直接出荷されます[5]。 こうして、多様で整備されたサプライチェーンにより、消費者に直接販売するというアプローチが強化され、世界的に競争の激しいファッション業界での地位を確立してきています。 極めて速い回転率と納期

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27
Sep

foodPanda:「速さ」にフォーカスしたビジネスモデルの台頭

新型コロナウイルス感染拡大が飲食業回に与えたダメージは大きく、ロックダウンと外食制限により飲食店内での人や商品の有機的な動きも深刻なレベルで減少しています。そんな中、インターネットを使ったオンデマンド宅配システムは、小規模ビジネスや個人経営レストランが混迷の時期を乗り切る助け舟となってきました。現在、アジア地域においてフードデリバリー業界を牽引するfoodpandaは、シンガポール、香港、タイ、マレーシア、台湾、日本など、アジア圏内400都市以上にまたがる12のマーケットでサービスを展開しています。グローバルカンパニーであるDelivery Heroの傘下にあるfoodpandaは2021年第二四半期の業績ベースで300米ドルの企業価値を有し、250%の成長率を誇りました。 foodpandaはいかにして飲食業界を変化させ、ネット上の体験と現場業務のギャップをどのように繋ぎ合わせたのでしょうか?また、このような新ビジネスモデル台頭の裏に、私たちは何を知るべきなのでしょうか?今回のブログで探ってみましょう。 foodPandaと「クイックコマース」 foodpandaのアジア太平洋地域最高経営責任者を務めるジェイコブ・アンゲラ(Jakob Angele)氏が、ポッドキャストのインタビューで過去の経験について語っていました。ジェイコブ氏はシンガポールで、あらゆるレストランの戸を叩き契約を取って回ったと言います。過去10年間、彼はチームと共に現場を歩き回り、将来的なQコマース(クイックコマース)の立ち上げに向けて自らの足で投資者やパートナーを育ててきたのです。既にあるEコマースと違い、Qコマースが売りとするのは「速さ・規模・ブランド力」です。 ピンクの配達バッグが印象的なfoodpandaは、瞬時に何百人という空腹の顧客の目に留まります。今日では、アジア中の人が最低1つのフードデリバリーアプリをスマホにインストールしていると言われています。自宅でNetflixを観ながら、急にタピオカドリンクが飲みたい衝動にかられたら、foodpandaやUberEats、Deliverooに注文できるというわけです。この2年間、外食制限は常に変化し、今日レストランで食事を楽しむことができても、明日には全ての店内飲食が中止になるかもしれません。 新型コロナ禍の中では、中小企業(SMEs)が顧客に対して、摩擦なくパーソナルな体験を提供できるよう助力することが非常に大切です。オンラインとオフラインの体験を巧みに統合することことで、中小規模の店舗でも注文が届いてから30分以内に商品を届けることが可能になります。foodpandaとの協力体制をとることで、飲食店は途切れなく顧客と繋がり、新たな収益チャネルを創出することができるのです。 シンガポールでfoodpandaと協働する販売店は16,000件近くあり、とりわけ重要なことに、そのうち約半分は中小ビジネスです。中小ビジネスにとって、foodpandaは単なる業務パートナーでなく、有料のプロモーションサービスを利用して露出アップや収益向上を目指すことができる宣伝プラットフォームでもあります。中小規模の店舗においては、今の状況を好機として捉え、ネット上での存在感を最大限に高め、それに応じたビジネススケールにスピーディーに変化することが求められます。中小企業がスケーラビリティ(=利用者や仕事量の増減に対応する企業能力)を追求するというのは、過去に例のないことです。 panadamart のブランド広告 面白いことに、foodPanda自体もpandamartの導入によりサービススケールを拡大させています。pandamartは、15〜30分以内に注文者の玄関先まで食料品を配達するサービスです。スーパーで買い物する機会が減り、感染リスクを減らすため日常的に食品をネット注文する人々が増えました。foodpandaはこの消費習慣の変化を捕え、生鮮食品、食品、家庭用品、健康関連商品など3,500種類以上の日用品をpandamart上に取り揃え、マレーシア市場においてビジネスの守備範囲を拡大しました。

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